酸性雨
木が立ったままかれていく、
農作物がこれまでのように収かくできない、
降った雨が原因で湖にすむ魚が死んでしまう、
石像や銅像などがとけていくといったことが世界的に起こっているよ。
石油・石炭、ガソリンなどを燃やす時に「窒素酸化物」や「硫黄酸化物」という体に有害な物質が出てくるよ。これらは、大気の中をただよいながら、硫酸や硝酸に変化するんだ。強い酸性の物質は、動植物のとても有害なもので、これらが、雨や雪などに取り込まれて、地上に降ってくることもあるんだ。酸性の度合いを表すには、PH(ピーエイチ)という値を使い、pHが5.6より低い雨、雪を「酸性雨」というよ。
たとえば土が酸性化すると、土の中の植物にとっての栄養分がとけだしてしまって、植物が根から吸収できなくなってしまうよ。また土の中にすんでいる微生物が死んでしまうので、枯れ葉や動物のふんなどを分解して土の栄養分に変えてくれるものもいなくなってしまう。そうすると、土の栄養分がどんどんなくなってしまい、木は枯れてしまうんだよ。それから、川や湖が酸性になってしまうと魚が生きていけなくなったり、卵を産まなくなってしまう。ヨーロッパではサケの仲間が酸性雨のえいきょうで川や湖からいなくなってしまったそうだよ。
酸性雨だけでなく、酸性雪、酸性霧、酸性雲などもあるんだよ。
特に北海道のような北国の場合は、酸性雪が心配なんだ。春になって積もった酸性雪がいっぺんにとけると、春に芽をだしたばかりの草花や木、川や湖などで卵からかえったばかりの魚のあかちゃんなどに酸性の水が悪い影響をあたえるんだよ。
実は札幌でも酸性雨が降っているんだ。
日本の土は酸性雨をやわらげてくれる力があるから、まだ大きな被害は出ていないけど、土の力がなくなったら札幌の森もなくなってしまうかも…。
だから、日本でも酸性雨の原因になる排気ガスなどの基準をきびしくしたりして、酸性雨や酸性雪をへらす取り組みがされているね。
でも、それだけじゃだめなんだ。外国でも酸性のもとになる物質が出ている。日本から遠いヨーロッパからでも、この物質が風にのって数日で日本の空までやってくるといわれているんだよ。だから他の国とも協力して酸性雨にとりくんでいかなくてはいけないけど、それぞれの国でいろいろ立場や事情がちがうから、かんたんにはいかないんだよね。